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仲田 光樹; 鈴木 渓
Physical Review Letters, 130(9), p.096702_1 - 096702_6, 2023/03
被引用回数:2 パーセンタイル:61.99(Physics, Multidisciplinary)量子場の真空ゆらぎによって創発されるカシミア効果は、古典力学には対応物が存在しないという意味において真に量子力学的な効果である。しかし、カシミア効果はこれまでフォトン(光子)を舞台に研究されており、磁性体中でのカシミア効果、特にそのカシミアエネルギーの膜厚依存性については十分な理解は得られていない。そこで本研究では格子場の理論の観点から、磁性絶縁体中のスピン波を量子化したマグノンに着目し、マグノン量子場により創発されるカシミア効果「マグノン・カシミア効果」及びその膜厚依存性を明らかにする。更に反強磁性絶縁体だけでなくフェリ磁性絶縁体(例:YIG)においてもマグノン・カシミア効果が創発することを示し、スピントロニクス分野で中心的な役割を担うYIGがカシミア効果の工学的応用を目指すカシミアエンジニアリング分野にとっても絶好の舞台であることを明らかにする。本研究は、マグノン・カシミアエンジニアリングの基礎学理の構築に大きく貢献することが期待される。
町田 昌彦; 加藤 孝一郎*; 志賀 基之
Journal of Chemical Physics, 148(10), p.102324_1 - 102324_11, 2018/03
被引用回数:19 パーセンタイル:70.02(Chemistry, Physical)水,重水,トリチウム水の液体状態における構造を第一原理経路積分分子動力学法を用いて研究した。用いた計算手法は、電子と原子核のすべてを量子力学的に取り扱うものであり、現時点で最も正確な計算手法の一つである。シミュレーションした結果は、実験とおおよそ一致しており、核量子効果により、同位体間の構造上の違いが明らかにされた。特に特筆すべき結果は、水分子内のOH共有結合中のHが隣接水分子との水素結合上の中点まで移動できる一方、重水素,トリチウムの順に中点まで行ける確率が減少するという傾向を得たことである。しかしながら、実験との完全な一致は未だ得られておらず、密度汎関数法の改良が必須であることが示唆された。また、最近の研究成果である密度汎関数に対するvan der Waals補正は液体状態における同位体効果を研究する上で必須であることが分かった。
志賀 基之; 高柳 敏幸
Chemical Physics Letters, 378(5-6), p.539 - 547, 2003/09
被引用回数:7 パーセンタイル:21.52(Chemistry, Physical)水ダイマーアニオンについての平衡構造を経路積分分子動力学法によって計算した。過剰電子と原子核の運動の両方を量子力学的に取り扱った。水-水のポテンシャルは半経験的な関数を、電子-水の擬ポテンシャルについては、最近開発された解析関数を用いた。電子が水ダイマーに付加すると、クラスターの構造が極めてフロッピーになることが計算によって示された。特に、ドナー交換,ドナー-アクセプター交換が量子力学的トンネル効果によって、容易に起こる事がわかった。このことは、核と電子の運動を分離するボルンオッペンハイマー近似が成り立たなくなっていることを示唆するものである。
三上 泰治*; 志賀 基之; 岡崎 進*
Journal of Chemical Physics, 115(21), p.9797 - 9807, 2001/12
被引用回数:27 パーセンタイル:64.18(Chemistry, Physical)溶液中に溶かした分子の振動エネルギー緩和現象は活性化された反応分子の動力学に多大な影響を及ぼす。溶質と溶媒の間の振動,回転,並進運動エネルギーの授受を解析するため、分子動力学シミュレーションを行った。本研究では、分子振動の緩和速度に対する、溶媒運動の量子力学的ふるまいの影響が非常に大きくなる場合があることを数値的に確認した。例として、水溶液中のシアン化物イオンの分子振動緩和の速度やプロセスを挙げ、経路積分影響汎関数理論において量子的水溶液と古典的な水溶液(プランク定数をOにした場合)の違いについて検討を行った。
和田 幸男; 佛坂 裕泰*; 佐々木 聡; 冨安 博*
PNC TY8607 97-002, 158 Pages, 1997/05
本報告書は、平成4年から東京工業大学原子炉工学研究所の富安研究室と動燃事業団先端技術開発室とで継続的に進めている、光化学研究に関する平成8年度共同研究成果報告書である。本年度は昨年度に引き続き、アクチノイドおよびランタノイド元素の光化学分離および光励起量子効果利用に関する基礎研究を分担して行った。その結果、3M硝酸溶液中のPuおよびNpを光化学的に原子価調整し、TBP溶媒中に共抽出した後、選択的にNpだけを再び同じ3M硝酸溶液中に戻す、光化学逆抽出技術の原理実証に成功した。また、アクチノイドおよびランタニノイド元素の光化学的分離手段として可能性のある、これらの元素の大環状配位子錯体を用いた光励起一反応挙動実験を行った。その結果、多種類のLn3+を含む水溶液中の特定のLn3+錯体に固有な光吸収波長の光を照射することにより、そのLn3+を選択的に分離することが可能であると結論された。また、Cm3+の模擬物質として用いたEu3+に関する知見では、Eu3+と同程度の励起寿命と遥かに大きなモル吸光係数を持つCm3+に対しても適用可能であると推定された。
量子計測研究グループ
JAERI-Conf 95-002, 64 Pages, 1995/03
先端基礎研究センター量子計測研究グループでは、1994年7月28日に「光ファイバーの量子計測への応用」と題するワークショップを開催した。同ワークショップでは、光ファイバーの放射線計測への応用、耐放射線特性の向上、プラズマ診断技術への応用、原子炉計装技術への展開などについて、所内外の研究者の最新の研究内容の講演と、これを基に討論を深めた。本稿は、同ワークショップでの講演内容を論文集としてまとめたもので、所内外の先端的な研究の現状を知ると共に、将来の方向として「原子力の光プロジェクト」へ多くの示唆に富むものである。
not registered
PNC TJ1545 92-004, 253 Pages, 1992/03
本調査は、近年放射線計測手法に関して、超電導や光技術、また新しい信号処理技術、微細加工技術等の先端技術を利用した新しい計測手法の開発が行われ、従来の計測手法では困難であった微弱放射線(能)や大線量放射線の測定が可能になりつつある現状を踏まえて、その内で実現可能性の高いレーザやファイバー等の光技術を中心とする量子工学的手法による放射線計測の開発状況を調査した。具体的調査としては、まず量子工学的計測手法の現状を展望し、次に加速器施設等の高エネルギー・大線量場における中性子、線の測定に関しては、大電流加速器施設を所有するわが国の研究機関の放射線計測の経験、次世代に予想される放射線計測システムの提案、また核融合施設環境の研究を通じて検討されている国内外の計測手法等を調査した。また、微弱放射線(能)の測定に関しては、研究途上にある新技術を紹介した。
仲田 光樹
no journal, ,
近年、非エルミート量子力学が注目を集めている。有限体積中の量子場の真空ゆらぎによって生じるカシミア効果は、古典力学には対応物が存在しないという意味において、量子力学的な効果といえる。これまでカシミア効果は、主に光子系を舞台に研究されてきた。しかし、量子場の理論の観点から鑑みると、光子場誘起のカシミア効果に類似の量子現象は、ゼロ点エネルギーを伴う他の量子場によっても創出されることが期待される。そこで本研究では、反強磁性磁性体中のスピン波を量子化したマグノンの量子場に着目し、マグノン版のカシミア効果「マグノンカシミア効果」を理論的に提案する。特にエルミート系だけでなく、エネルギー散逸のある非エルミート系も検討し、「例外点誘起のカシミア振動」をはじめとする非エルミート系に特有の量子物性「非エルミートマグノンカシミア効果(マグノン量子場による非エルミートカシミア効果)」を議論する。